薬剤科~薬の専門家としてチーム医療を支える~
こんにちは。今月の部署紹介は「薬剤科」です。
薬剤師と聞くと「薬を出す人」という印象を持たれる方も多いかもしれません。
しかし実際には、調剤にとどまらず、患者さんの安全で安心な薬物療法を支えるため、幅広い業務を担っています。
ここでは薬剤科の役割と現場で活躍している設備をご紹介します。
全自動分包機で服薬ミスを防止

入院患者さんの薬は、1回分ずつまとめて包装する「一包化」で管理しています。分包機を活用することで、安全性と効率を高めています。
薬剤科では、入院患者さん全員や一部外来患者さんの処方箋に基づいて調剤を行っています。
その際、全自動錠剤分包機「Crestage-Lite2」を使用し、処方データと連動して薬を自動で一包化。
カセットにない薬は手作業で追加し、完成後は薬剤師が色・形・刻印を確認して一包ずつ監査します。
電子カルテとの連携により、ヒューマンエラー防止にもつながっています。
薬剤の種類別に整理された調剤棚

350種類以上の薬を分類・整理し、取り間違えを防ぐ工夫をしています。
薬剤科内には、内服薬約350種類、外用剤100種類、注射薬150種類のほか、消毒剤を在庫。
薬剤は「あいうえお順」と「薬効別」に分けて収納し、規格や性質の違いに応じて注意札を掲示しています。
棚は定期的に点検・清掃し、在庫や期限を管理。欠品による治療の遅れが生じないよう徹底しています。
注射薬・注射器材の保管エリアも完備

抗生剤や輸液剤など、入院治療に欠かせない注射薬を専用エリアで管理しています。
薬剤科では、注射薬や輸液剤を専用の保管スペースで管理。抗生剤・高カロリー輸液・抗がん剤など幅広い薬効の薬剤を保管しています。
患者様ごとに必要な注射薬をトレーに調剤し、前日に病棟へ払い出します。
調製時には混合の可否や点滴速度を確認し、投与前の安全性を担保。薬剤には患者名や薬剤名に加えてバーコードを印字し、看護師がリストバンドと照合してから投与しています。
正確さを支える計量機器

粉薬・シロップ・軟膏の調剤では、精密な計量機器を使って正確さを追求しています。
薬剤科では、散剤やシロップ、軟膏も個別に調剤しています。
1000分の1gまで計量できる電子天秤を使用し、誤差のない分包を実現。
作業環境は広さ・明るさ・清掃を徹底し、秤で量った薬剤名を印字できる仕組みを導入。
混合ミスや異物混入を防ぎ、衛生的で安心できる調剤環境を整えています。
薬物治療を適切に出来るための薬剤師の業務
薬剤師は調剤だけでなく、患者さんへの説明や多職種との連携を通じて薬物療法を支えています。
服薬方法や副作用の説明を行うほか、血液検査結果をもとに投与量や薬の有用性について主治医へ助言します。
また、リハビリの状況や治療経過を医師・看護師・リハビリスタッフ・栄養士・ソーシャルワーカーと共有し、薬物治療が適正かを確認。
不要な薬の有無、服薬のしやすさ、退院後を見据えた投薬方法の工夫など、多角的に提案しています。

薬剤師は、薬を出すだけでなく、医師・看護師・リハビリスタッフなどと連携し、治療を支えるチーム医療の一員です。
入院中は薬歴管理や副作用の確認を行い、必要に応じて投与量や薬の選択について医師に助言します。退院時には服薬指導を行い、患者さんやご家族が安心して薬を続けられるよう支援します。
また、薬剤の安全性や経済性の観点からもアドバイスを行い、病院全体の医療の質を高める役割を担っています。薬に関することはすべて、薬剤師が責任をもって関与・管理しています。
最後に
薬剤科は、表に出にくいながらも医療の質と安全を裏から支える“縁の下の力持ち”です。
患者さんの前で説明を行う場面もあれば、医師や看護師を支え、安心・安全な入院生活を実現するために日々業務を行っています。
これからも患者さんが安心して薬物療法を受けられるよう、薬剤科一同努力してまいります。
ご覧いただきありがとうございました。